園主の独り言2

 全国放送のテレビの効果は、想像をはるかに超えて悪夢の日々となってしまいましたが、「全国にはこんなにも沢山の方が、おいしいトマトを望んでいらっしゃるんだ。」と、気付かされました。「ならば、答えよう!」と決意し、翌年春400坪のトマトハウスを建設!倍の面積でトマト栽培をスタートすることとなりました。そして8年間お支え頂いた機械会社とのご縁に、終止符を打たせて頂き、晴れて100%トマト農家として動き出しました。

 テレビに出て注文が増えたからとて、今までお支え頂いた地元のお客様やスーパーを切る訳にはいきません。あくまでも地元を第一としながら、全国のお客様にも対応していくこととして、再スタートを切りました。リピーター、定期購入のお客様の多くなり、順調に進むように思えましたが、1年後,ここでまた、大問題にブチ当ったのです。

 我が家では、7月末に苗を植え、10月から翌年6月一杯収穫を続けて終わるサイクルでトマト作りを進めます。しかしハウスを建てた1年後の5月30日、突然新ハウスのトマトが全て枯れてしまいました。根の病気が出てしまったのです。1か月早く作を切り上げることになりますが、これも致し方ないことと、早々に植え替え作業に入りました。我が家では水耕栽培なので、水の流れるラインをしっかり消毒すれば大丈夫と、入念に消毒を終えて、6月中に新しい苗を植え。再スタート。9月20日頃より収穫が始まりましたが、何かおかしいと思いつつ進めていくと、また根の病気が出始めたのです。そしてそれが、すべてのハウスで確認されるようになってしまいました。農薬を投入すれば、何とか持ちこたえてはくれたのですが、このまま農薬に頼る栽培を続けることは、出来ない。しかしここで植え替えるとすると、冬をまたぐので3月まで収穫が無くなってしまいます。その大きな損害、お客様にトマトをお届けできない!10月から新ハウスの返済が始まる!私の頭は、大パニックとなってしまいました。そんな私を見て妻は、「何度でも植え替えればいい」と言ってくれたのです。

 妻の言葉で我に立ち返った私は、全ハウスの植え替えを決意。すべてのお客様に、理由を説明した手紙を送付。お待ち頂きたいとお願いしました。銀行にも返済の猶予をお願いに上がりました。すると、お客様からは、大変な状況を察し頂き、いつまでも待つので頑張るようにと、ご返事を多く頂きました。銀行からは、3年間返済の猶予を頂き、再契約することとなりました。そして、病気の原因が、栽培用の井戸水に、雨水が入り込んでいたためと分かり、晴れて、10月末に植え替えを断行いたしました。その後は、大きな病気の発生も無く、進みました。

 フルーツトマト作りも本年で23作目(トマトを始めて26作目)を迎えました。当初に比べると、全く違った肥培管理、栽培法へと進化しています。

 ここまでの人生を振り返ると、工業系の学校を出たことも、長らく続けた自動車修理も、今のトマト作りにたどり着くための欠かせない経験となっています。そして、幾多の試練は、我が人生を、良き方向に導くための羅針盤であったと思えてなりません。今後も苦難は、まだまだやってくることでしょう。それらを恐れず、乗り越える人生を貫きたいと思っています。

 ここまでやってこられたのも、支えて下さるお客様がおられたからこその事。お客様第一主義を貫き、今後も邁進して参りますので、どうぞよろしくお願いいつぃます。

                          2020.8.30 園主